天才科学者も人の子だった!? 『恋する天才科学者』
クラスで一番賢かった奴がやっと入った東大でも、一部の人しかなれない大学教授が、束になってもかなわないノーベル賞受賞者の、ごく一部のみ語り継がれる天才科学者。そんな「頭の良さヒエラルキー」の一番上の人は、一体どんな人間だったのか、どんな生活をしていたのか。我々凡人には全く想像できません。それこそビッグバン★セオリー1に出て来るシェルドン2みたいな人ばかりなのでしょうか。そんな天才科学者の人間的な部分に迫ったのが本書です。
- 作者: 内田麻理香
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/12/20
- メディア: 単行本
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登場する科学者
この本で取り上げられている科学者は、ニュートン、デーヴィ、ファラデー、アーベル、ダーウィン、ガロア、ファーブル、ノーベル、南方熊楠、アインシュタイン、ボーア、シュレーディンガー、パウリ、ハイゼンベルグ、オッペンハイマー、ファインマンの16人。どれも有名な科学者ばかりですね。自分はデーヴィをしりませんでしたが。 それぞれの科学者の貢献を簡単に紹介すると、次の通りです。
- ニュートン:微積分学、運動の3法則、光の研究
- デーヴィ:8元素の発見、ファラデーの師匠
- ファラデー:電磁誘導、ベンゼン、反磁性
- アーベル:アーベルの加法定理、五次方程式の解の不可能性
- ダーウィン:進化論の提唱
- ガロア:ガロア理論
- ファーブル:昆虫記
- ノーベル:ダイナマイトの発明
- 南方熊楠:粘菌の研究
- アインシュタイン:相対性理論、光電効果、ブラウン運動
- ボーア:前期量子論の提唱
- シュレーディンガー:シュレーディンガー方程式
- パウリ:パウリの排他原理
- ハイゼンベルグ:不確定性原理
- オッペンハイマー:マンハッタン計画の指揮
- ファインマン:ファインマンダイアグラム、繰り込み理論
量子論以後の物理学の巨匠が多いですね。この辺は資料がたくさん残っていることと、物理学者間のやり取りも盛んにあったみたいで、読んでいて面白いです。天才同士惹かれ合ったのでしょう。
科学者も色恋沙汰に悩まされていた?
この本の面白いところの一つは、「恋する」と題しているところからもわかるように、科学者の色恋沙汰に焦点を当てているところです。ここは科学者ごとにカラーが違って面白いところですね。シュレーディンガーを例に取ると、彼には愛人が何人もいて、婚外子を生涯で3人も作っています。「激しい情事からくる緊張は科学的創造を助けこそすれ、妨げにはならない。」と言ったほどの好色っぷり。一方で、数学者ガロアは生涯でたった一人、ステファニーという女性に恋をして、彼女をめぐる決闘で命を落とすのです。
さらに、女性の著者が独断と偏見で、「浮気性か家庭的か」「坊ちゃん育ちか叩き上げ系か」の2軸で各科学者のチャートを描いているところも興味深いです。 ちなみに、各科学者のチャートをまとめるとこんな感じです。
こうしてみると、現代物理学の巨匠は浮気性の人が多いですね(アインシュタイン、シュレーディンガー、パウリ、オッペンハイマー)。シュレーディンガーの言っていることもあながち間違いじゃないのかも…しれない?
また、芸が細かいと思ったところは、各科学者の写真をよくある写真ではなく、若くてイケメンな時代の写真を使用しているところ。アインシュタインの若い頃の写真をぱっと思い浮かべられる人は少ないんじゃないでしょうか。いつもの舌を出している写真とは違った印象を受けますね。
さいごに
教科書で見た科学者の、人間的な側面をまとめた本書。アマゾンでは中古でしか手に入らないみたいですが、興味をもったならぜひぜひチェックしてみてください。